1.【今週はこれを読め! エンタメ編】藤巻博士一家の温かな日々〜瀧羽麻子『博士の長靴』(BOOK STAND)
これはほんとにいい本。まだ読まれていない方は、ぜひお手にとっていただきたい。 連作短編集である本書のタイトルの「博士」とは、気象学を専門とする藤巻博士のこと。時系列に沿って並べられた物語の冒頭、彼はまだ大学の研究室勤めの三十路手前の若者である。最初の短編「一九五八年 立春」の語り手は、藤巻家の女中...
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2.【今週はこれを読め! エンタメ編】1年に7日間しか過ごせない人との恋〜宇山佳佑『ひまわりは恋の形』(BOOK STAND)
ひとりとして同じ人間が存在しないように、恋愛の形も人によってそれぞれだ。本書は、"難病もの"と大ざっぱにくくられかねない一冊といえよう。しかし、主人公たちにとって彼らの恋は唯一無二のものであり、そのようにシンプルなレッテルでは表現しきれない物語であることを強く訴えておきたい。 大学4年生の葵井日向...
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3.【今週はこれを読め! エンタメ編】傷ついた心が少しずつ回復していく山本幸久『花屋さんが言うことには』(BOOK STAND)
花はよいものだ。カレーライスや大谷翔平選手といった人気者であってもアンチは存在するわけだが、花に関しては「嫌い」という人にはいまのところ出会ったことがない。 とはいえ、当然ではあるけれども、日頃から花のような美しいものに触れていれば悩みもないなどという単純な話でもない。本書の舞台は、東京西部にある...
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4.【今週はこれを読め! エンタメ編】驚きに満ちた人生の物語〜藤谷治『ニコデモ』(BOOK STAND)
人に歴史あり。物語の大きな柱となるのは、聖書に登場する人物にちなんで名づけられた瀬名ニコデモ。「日本が戦争に勝っていたころ」、裕福な家庭に生まれた彼は、音楽を愛する青年に育ち、その美しさは「揉めごとの種になるほど」のものだった。父親はゆくゆくは事業を継がせようと、一人息子に仕事で関係のあるフランス...
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